更新まで時間がかかってしまいましたね(つД`)
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「っ痛っぅ・・・!!」
頭上に衝撃を受け、その場にかがみこみ言葉にならない声で呻くブランク。
そんな様子にものともせずにリリア姫はまくしたてた。
「貴方達、兄弟なんでしょう!?兄弟なら得物を使わずに、
グーで喧嘩しなさいよ、グーで!!」
握りこぶしを作り、顔を真っ赤にして怒っている。
その様子に、最初は目を丸くしていたギルバートことギルだったが、
やがて大きなため息を吐いた。
「なんでお前がここにいるんだ?立ち聞きとは趣味が悪いぞ。」
キッとリリア姫を睨み付ける。
リリア姫も負けずにギルを睨み付けた。
「なによ。ちょっと心・・・気になったから来ただけじゃない。
たまたま声が聞こえてきたんだわ。
それに、こんな場所で剣を取り出す方がどうかしてるわよ!」
「ま、まぁまぁ。君がパールの姫様かい?」
リリア姫とギルの間にブランクが割って入った。
「初めまして・・・かな?強烈な挨拶、効いたよ。気は強いけど、思ったよりもずっと美人だね。ギルにはもったいない。」
そう言うとリリア姫の手を取り、手の甲に口を付けた。
「・・・初めまして。パール王国第3王女、リリア・パールよ。
ギルのお兄様だと聞いていたけど、随分と大きいのね。」
「ハハッ。姫は小さい人間の方がお好みかな?」
「どうかしら?」
どうもこのブランクという男、胡散臭い感じがしてならなかった。
背丈を除けば、髪の毛の色も、瞳の色も同じ。顔立ちもどことなく似ている。
ギルの兄だということには間違いなさそうなのだが・・・。
「・・・ふぅ。ブランク、今日はもう遅い。話の続きはまた明日だ。姫、行くぞ。」
いつの間にかギルは剣を鞘に収め、部屋から出ようとしていた。
「ちょ、待ちなさいよ!もう・・・それでは失礼します。」
お辞儀をして挨拶だけすませると、あわててリリア姫も後に続いた。
部屋の中ではブランクが不気味な笑みをしている。
「おやすみなさい、ギル、リリア姫。」
「自分の兄様に向かって剣を向けるなんてどういうつもり?」
「・・・。」
夜も更け、暗くなった廊下を二人で歩く。
「お前、あの男に関わるな。
確かに俺の兄貴だが、得体の知れない人間だという事を覚えておくんだな。」
「なんでよ?」
「なんでも、だ。」
当然理由を聞くが、答えは無い。
リリア姫の部屋の前まで来ると、メイドのマールが扉の前で待っていた。
「リリア様!よかった。中々お戻りにならないので、心配していたんです。」
「ごめんね、マール。」
部屋に入ると既にベットのシーツは整えられ、綺麗に掃除してあった。
「綺麗な花ねー。」
リリア姫は机の上に飾ってある花に気がついた。
「貴方が活けてくれたのね?ありがとう!」
リリア姫の素直な反応にマールは驚いた。
「そ、そんな…。家の庭に咲いていたものです。喜んでいただけたようで光栄です…。」
赤くなって俯くマール。
「もー、かわいいんだから!!」
「きゃっ!」
ガバッ
リリアはマールに抱きついた。
照れながら答えるマールが可愛く見えてしょうがない。
「それに比べて、ギルも、あのブランクもホント可愛げがないんだから!」
「…ブランク様ですか?」
マールが首を傾げた。
「そう。ブランク。貴方、知ってるの?」
「はい。ギルバート様の兄上で、この国の第一王子であられたお方です。
3年前に突然旅立たれてしまい…。それからしばらくして前の王様…
ギルバート様のお父上である前王様がお亡くなりになられたので、王位はギルバート様に。
この国の人間で知らないものはいないと思います。」
リリア姫は途端に険しい顔つきになった。
「ブランクの事、もっと詳しく聞かせて頂戴。」
「は、はい。」
リリア姫の様子に驚いたマール。
気圧されたかのように頷いた。
「ブランク様は、ギルバート様より2つ年上の18歳であられます。
3年前、出て行かれる前は、私達と同じくらい…ギルバート様より少し小さいくらいでした。
ですが、先日突然お帰りになられて、そうしましたら姫様より大きくなっているではありませんか。
皆、驚いていました。」
「突然帰ってきた?つまり、何の便りもなしに?」
「はい。」
リリア姫は考えた。
やはりギルが食堂で見ていた紙は、ブランクからのものではない。
とすると、ブランクの帰還以外にも何かあるのかしら?
もしかしたら二つのことは、まるで関係の無い話かもしれない。
「リリア様?」
「え?あー、ごめんね。ブランクはなんで突然帰ってきたのかしらね?」
リリア姫の問いに、マールは首を振った。
「わかりません。ただ、ギルバート様とブランク様。
以前より喧嘩が絶えませんでしたから、心配です。」
「そう…。ありがとう。もういいわよ。」
「では、失礼します。」
マールが去った後、リリア姫はベットに寝転び考えにふけった。
どうも怪しい。妙な胸騒ぎがする。
突然大きくなって帰ってきた兄に、
いつもと様子の違うギルバート。
「明日ギルを捕まえて、聞き出してやるわ!」
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頭上に衝撃を受け、その場にかがみこみ言葉にならない声で呻くブランク。
そんな様子にものともせずにリリア姫はまくしたてた。
「貴方達、兄弟なんでしょう!?兄弟なら得物を使わずに、
グーで喧嘩しなさいよ、グーで!!」
握りこぶしを作り、顔を真っ赤にして怒っている。
その様子に、最初は目を丸くしていたギルバートことギルだったが、
やがて大きなため息を吐いた。
「なんでお前がここにいるんだ?立ち聞きとは趣味が悪いぞ。」
キッとリリア姫を睨み付ける。
リリア姫も負けずにギルを睨み付けた。
「なによ。ちょっと心・・・気になったから来ただけじゃない。
たまたま声が聞こえてきたんだわ。
それに、こんな場所で剣を取り出す方がどうかしてるわよ!」
「ま、まぁまぁ。君がパールの姫様かい?」
リリア姫とギルの間にブランクが割って入った。
「初めまして・・・かな?強烈な挨拶、効いたよ。気は強いけど、思ったよりもずっと美人だね。ギルにはもったいない。」
そう言うとリリア姫の手を取り、手の甲に口を付けた。
「・・・初めまして。パール王国第3王女、リリア・パールよ。
ギルのお兄様だと聞いていたけど、随分と大きいのね。」
「ハハッ。姫は小さい人間の方がお好みかな?」
「どうかしら?」
どうもこのブランクという男、胡散臭い感じがしてならなかった。
背丈を除けば、髪の毛の色も、瞳の色も同じ。顔立ちもどことなく似ている。
ギルの兄だということには間違いなさそうなのだが・・・。
「・・・ふぅ。ブランク、今日はもう遅い。話の続きはまた明日だ。姫、行くぞ。」
いつの間にかギルは剣を鞘に収め、部屋から出ようとしていた。
「ちょ、待ちなさいよ!もう・・・それでは失礼します。」
お辞儀をして挨拶だけすませると、あわててリリア姫も後に続いた。
部屋の中ではブランクが不気味な笑みをしている。
「おやすみなさい、ギル、リリア姫。」
「自分の兄様に向かって剣を向けるなんてどういうつもり?」
「・・・。」
夜も更け、暗くなった廊下を二人で歩く。
「お前、あの男に関わるな。
確かに俺の兄貴だが、得体の知れない人間だという事を覚えておくんだな。」
「なんでよ?」
「なんでも、だ。」
当然理由を聞くが、答えは無い。
リリア姫の部屋の前まで来ると、メイドのマールが扉の前で待っていた。
「リリア様!よかった。中々お戻りにならないので、心配していたんです。」
「ごめんね、マール。」
部屋に入ると既にベットのシーツは整えられ、綺麗に掃除してあった。
「綺麗な花ねー。」
リリア姫は机の上に飾ってある花に気がついた。
「貴方が活けてくれたのね?ありがとう!」
リリア姫の素直な反応にマールは驚いた。
「そ、そんな…。家の庭に咲いていたものです。喜んでいただけたようで光栄です…。」
赤くなって俯くマール。
「もー、かわいいんだから!!」
「きゃっ!」
ガバッ
リリアはマールに抱きついた。
照れながら答えるマールが可愛く見えてしょうがない。
「それに比べて、ギルも、あのブランクもホント可愛げがないんだから!」
「…ブランク様ですか?」
マールが首を傾げた。
「そう。ブランク。貴方、知ってるの?」
「はい。ギルバート様の兄上で、この国の第一王子であられたお方です。
3年前に突然旅立たれてしまい…。それからしばらくして前の王様…
ギルバート様のお父上である前王様がお亡くなりになられたので、王位はギルバート様に。
この国の人間で知らないものはいないと思います。」
リリア姫は途端に険しい顔つきになった。
「ブランクの事、もっと詳しく聞かせて頂戴。」
「は、はい。」
リリア姫の様子に驚いたマール。
気圧されたかのように頷いた。
「ブランク様は、ギルバート様より2つ年上の18歳であられます。
3年前、出て行かれる前は、私達と同じくらい…ギルバート様より少し小さいくらいでした。
ですが、先日突然お帰りになられて、そうしましたら姫様より大きくなっているではありませんか。
皆、驚いていました。」
「突然帰ってきた?つまり、何の便りもなしに?」
「はい。」
リリア姫は考えた。
やはりギルが食堂で見ていた紙は、ブランクからのものではない。
とすると、ブランクの帰還以外にも何かあるのかしら?
もしかしたら二つのことは、まるで関係の無い話かもしれない。
「リリア様?」
「え?あー、ごめんね。ブランクはなんで突然帰ってきたのかしらね?」
リリア姫の問いに、マールは首を振った。
「わかりません。ただ、ギルバート様とブランク様。
以前より喧嘩が絶えませんでしたから、心配です。」
「そう…。ありがとう。もういいわよ。」
「では、失礼します。」
マールが去った後、リリア姫はベットに寝転び考えにふけった。
どうも怪しい。妙な胸騒ぎがする。
突然大きくなって帰ってきた兄に、
いつもと様子の違うギルバート。
「明日ギルを捕まえて、聞き出してやるわ!」
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王たるもの、第2話。
ここまでが、昔書いたものです。
ここまでが、昔書いたものです。
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あるところに それは それは
美しいお姫様がいました。
お姫様は、優しく、みんなから愛され、
幸せにすごしていました。
ですがある日、お父様である王様の命令で隣の国の王様と
結婚させられることになったのです。
この王様というのが いじわるで
ケチで、
性格が極悪。
しかも!!
「…しかも、なんだ?」
「ぎくっ!!」
突然うしろから声を掛けられ、リリア姫。まだ書いている途中の本を慌てて閉じた。
「めずらしく静かだと思ったら…くだらないことを。」
「いいじゃない!…ちょっと文学をたしなんでたのよ。」
リリア姫は本を背中に隠し、頬を膨らませそっぽを向く。
その様子にギルバート王こと、ギルは呆れている。
「やれやれ。体がでかいだけで中身はてんで幼稚だな。それのどこが文学なんだ?人物の形容を間違ってるじゃないか。」
ギルの言葉にリリア姫は顔を真っ赤にして、
「間違ってないわよ!この極悪チビ!!!出ていって!!!!!」
と、怒鳴った。
ギルはリリア姫の言葉どうり部屋を後にすることにした。
それはこれ以上リリア姫の神経を逆なですると、今度は物に当たり出すからだ。
リリア姫がスモールランドにやってきてから1ヶ月。
そのわがままと気性の激しさはすでに国民全てが知るところとなっていた。
「むかつくわ!ギルの奴!!」
ご立腹中のリリアはベットに寝転がり、枕を抱いたまま天井を見つめている。
「せめてあの身長どうにかならないのかしら?だって顔は悪くないんだもの。」
そんな愚痴をこぼしながらしばらくのあいだ口を尖らせ膨れていたが、いつのまにか深い眠りにおちていた。
そんな彼女が侵入者の影に気が付くはずもなく、しだいに日は暮れていった。
「……様。リリア様。」
かわいらしい声にリリア姫は目を覚ました。
目をこすりながら体を起こした。
ベッドの傍らには小さな女の子。
いや、この国ではこのぐらいの大きさでリリア姫ぐらいの年なのだ。
だから16、7だろう。
赤色がかった黒い髪で、決して美人というわけではないが、くりくりとした目に、愛嬌のある人なっつこそうな笑顔を見せている。
「起きられましたか?ご夕食にお呼びするよう執事のサンチェスさんに申しつかったんです 。」
「あ、もうそんな時間なんだ。ありがとう……えっと?」
「私、リリア様にお仕えすることになったマールといいます。これからよろしくお願いします。」
少女は紺のスカートの上に両手を重ねると深々とお辞儀をした。
「やだ、そんなにかしこまらないでよ。やっとこっちに慣れてきたのにそれじゃ私の国のメイドみたいだわ。」
リリア姫の言葉にマールは面を食らったような顔をした。
「なんだか、リリア様って思っていたより話しやすい方なんですね。パールの国の人って固くて大きくて怖いイメージがあったんです、実は。」
「フフフ。そうだろうと思った。大きいのは本当だけどね。気を使わなくていいの。こう見えても小さい頃からよく城をぬけだしてたりしたのよ。お城には友達なんていなくて。お姫らしくしなさいって、お姉さま達によく怒られた わ。」
二人は談笑しながら食室へ向かった。
食室の長机の一番奥にはギルが腰を掛け、食事にも手をつけず報告書のような紙に目を通し ていた。
リリアが席につくとき少しだけ彼女のほうを見たがそれきりまた紙に目を戻してしまった。
「なによ、それ。」
リリアの言葉など聞こえていない。
長机の上には冷めてしまったスープ。
重たい空気の食卓。
元々にぎやかな食事などしたことのないリリアだったが、らしくないギルの様子には我慢ならなかった。
ドンッ
突然の物音に食室にいる全員がリリアに注目した。
後ろに控えていたマールなど驚きのあまり目を丸くして口を押さえているではないか。
そんなことは物ともせず、机にグーを振り下ろしたままリリアはギルを怒鳴りつけた。
「今は食事中でしょ!?せっかくのスープが冷めてしまってはつくってくれたシェフに失礼よ。」
「あ、…ああ。」
ギルは紙を4つにたたみ懐にしまうと、ようやく我にかえったかのように食事に手をつけた。
「気になるわね。」
食事が終わり部屋に戻ったリリアは先程のギルの様子をいぶかしんでいた。
「それってギルバート様のことですか?」
「1にも2にも奴の事しかないじゃない。まるで戦争でもはじまるかのような顔だったでしょ?あの紙、絶対あやしいわ。」
「え?」
わがままなだけで世間知らずと噂されていたリリアの意外な言葉にマールは驚いているようだった。
「私のお父様も食事中にああいう顔をするときがあるのよね。そういう時って必ずと言っていいほ ど何かがあるのよ。私がここにくることが決まったときもそうだったわ。」
「で、でもギルバート様ならきっとそんなことありません。だって、いつも私達のためにどんなことでも何とかしてくれました。今度もきっと…。」
マールは手を握りしめうつむいてしまった。
そんなマールの肩に手をのせ、目線があうように中腰になるリリア。
「だめよ。男はね、なんでも一人で抱え込んじゃうんだから。だから自分から近づいてあげるの。 女は行動力よ!…って、お母様の受け売りだけどね。」
「…………」
リリアは軽くウィンクすると、マールを残して部屋を出た。
コンコンッ
コンコンコンッ
ギルの部屋を何度もノックするが、返事はない。
「いかがなさいましたか、リリア様?」
声にリリアは振り返り目線を下におろした。
ランプを片手に、執事のサンチェスが向こうから歩いてくる。
「ギル…ギルバート王はどうしたのかしら?いらしゃらないの?」
「王ならブランク様とお会いになられてますが。」
「ブランク様?」
「そうでした。リリア様はブランク様のことは初めてでしたか。ブランク様はギルバート様の兄上であられるお方です。今まで旅にでられていたのですがさきほどお帰りになられたのです。」
ブランクのことを話すサンチェスはどこか元気がないようだった。
「ひょっとして食事の時、ギルが読んでいた紙にはそのことが書かれていたの?」
もしそうだったらこのセサンチェスの落ち込みようは説明できたのであろうが。
「は?ブランク様はなんの連絡も無しにお帰りになられましたよ。紙とは…?」
「な、なんでもないの!気にしないで。それで今二人はどこに?」
サンチェスが余計な詮索することを恐れたリリアは逃げるように二人がいるという別室に向かっ た。
その別室というのは普段は使われていない。
召使いが掃除をするとき意外はギルはおろか誰も近づかなかったのだ。
それが何故なのかリリアは知るところではなかったのだが、それがギルの兄の部屋だということ。
その兄こそ別室でソファーに腰を掛けている長身の男、ブランクなのだ。
ブランクの容貌はギルとは大きくかけ離れていた。
顔でこそギルと似ているものの、その背丈がリリアよりも高いのだ。
これならばパールの中でも十分通じるはずだ。
「突然帰ってきたと思ったら…やけに馬鹿でかくなったな、ブランク。」
ギルは紅茶の入ったティーカップを兄に渡した。
「そういうお前は相変わらず小さいままだな?」
「・・・オレの覚えうる限りだと、アンタのほうが小さかったような気がするけど?」
それにはブランクは含み笑いをするだけで答えなかった。
それからも二人の間には長い間の確執を表すかのような冷たい空気がながれる。
沈黙を破ったのはブランクだった。
「そういえばギルバード、あのパールが姫さんをよこしてきたんだって?」
「…………」
「美人か?」
「…オレの質問に答えたら教えてやるよ。なんで親父が死んだとき帰ってこなかった?連絡はだしたはずだ。」
「ああ、それか。王位をお前にやろうと思ってな。国にいないような不良よりも、昔から真面目で優秀だったお前のほうが国としてもいいだろう?オレにはオレの分がある。こんな金も何もない、ちっぽけな国に収まるのだけはごめんだね。それに…」
ブランクは立ち上がるとギルに近づき、彼の頭に手を載せた。
「今のオレがこの国の王になってみろ?王ではなく保護者になってしまうしな。」
「ふざけるな!この国を侮辱するのか!?」
ブランクの手をはねのけ、ギルは腰に差していた小剣を抜き取った。
「フン、抜いたな。だが、この平和じゃ腕も落ちたんじゃないのか?おまけにその背じゃな!!」
ブランクが懐に手を入れようした瞬間だった。
「きゃあああ!!!」
突然の奇声とともに、ブランクの頭に衝撃が走った。
ブランクの頭に直撃したのは廊下の飾り棚に置かれていた人形。
一部始終を盗み見していたリリア姫が展開に驚き、投げつけたのだ。
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美しいお姫様がいました。
お姫様は、優しく、みんなから愛され、
幸せにすごしていました。
ですがある日、お父様である王様の命令で隣の国の王様と
結婚させられることになったのです。
この王様というのが いじわるで
ケチで、
性格が極悪。
しかも!!
「…しかも、なんだ?」
「ぎくっ!!」
突然うしろから声を掛けられ、リリア姫。まだ書いている途中の本を慌てて閉じた。
「めずらしく静かだと思ったら…くだらないことを。」
「いいじゃない!…ちょっと文学をたしなんでたのよ。」
リリア姫は本を背中に隠し、頬を膨らませそっぽを向く。
その様子にギルバート王こと、ギルは呆れている。
「やれやれ。体がでかいだけで中身はてんで幼稚だな。それのどこが文学なんだ?人物の形容を間違ってるじゃないか。」
ギルの言葉にリリア姫は顔を真っ赤にして、
「間違ってないわよ!この極悪チビ!!!出ていって!!!!!」
と、怒鳴った。
ギルはリリア姫の言葉どうり部屋を後にすることにした。
それはこれ以上リリア姫の神経を逆なですると、今度は物に当たり出すからだ。
リリア姫がスモールランドにやってきてから1ヶ月。
そのわがままと気性の激しさはすでに国民全てが知るところとなっていた。
「むかつくわ!ギルの奴!!」
ご立腹中のリリアはベットに寝転がり、枕を抱いたまま天井を見つめている。
「せめてあの身長どうにかならないのかしら?だって顔は悪くないんだもの。」
そんな愚痴をこぼしながらしばらくのあいだ口を尖らせ膨れていたが、いつのまにか深い眠りにおちていた。
そんな彼女が侵入者の影に気が付くはずもなく、しだいに日は暮れていった。
「……様。リリア様。」
かわいらしい声にリリア姫は目を覚ました。
目をこすりながら体を起こした。
ベッドの傍らには小さな女の子。
いや、この国ではこのぐらいの大きさでリリア姫ぐらいの年なのだ。
だから16、7だろう。
赤色がかった黒い髪で、決して美人というわけではないが、くりくりとした目に、愛嬌のある人なっつこそうな笑顔を見せている。
「起きられましたか?ご夕食にお呼びするよう執事のサンチェスさんに申しつかったんです 。」
「あ、もうそんな時間なんだ。ありがとう……えっと?」
「私、リリア様にお仕えすることになったマールといいます。これからよろしくお願いします。」
少女は紺のスカートの上に両手を重ねると深々とお辞儀をした。
「やだ、そんなにかしこまらないでよ。やっとこっちに慣れてきたのにそれじゃ私の国のメイドみたいだわ。」
リリア姫の言葉にマールは面を食らったような顔をした。
「なんだか、リリア様って思っていたより話しやすい方なんですね。パールの国の人って固くて大きくて怖いイメージがあったんです、実は。」
「フフフ。そうだろうと思った。大きいのは本当だけどね。気を使わなくていいの。こう見えても小さい頃からよく城をぬけだしてたりしたのよ。お城には友達なんていなくて。お姫らしくしなさいって、お姉さま達によく怒られた わ。」
二人は談笑しながら食室へ向かった。
食室の長机の一番奥にはギルが腰を掛け、食事にも手をつけず報告書のような紙に目を通し ていた。
リリアが席につくとき少しだけ彼女のほうを見たがそれきりまた紙に目を戻してしまった。
「なによ、それ。」
リリアの言葉など聞こえていない。
長机の上には冷めてしまったスープ。
重たい空気の食卓。
元々にぎやかな食事などしたことのないリリアだったが、らしくないギルの様子には我慢ならなかった。
ドンッ
突然の物音に食室にいる全員がリリアに注目した。
後ろに控えていたマールなど驚きのあまり目を丸くして口を押さえているではないか。
そんなことは物ともせず、机にグーを振り下ろしたままリリアはギルを怒鳴りつけた。
「今は食事中でしょ!?せっかくのスープが冷めてしまってはつくってくれたシェフに失礼よ。」
「あ、…ああ。」
ギルは紙を4つにたたみ懐にしまうと、ようやく我にかえったかのように食事に手をつけた。
「気になるわね。」
食事が終わり部屋に戻ったリリアは先程のギルの様子をいぶかしんでいた。
「それってギルバート様のことですか?」
「1にも2にも奴の事しかないじゃない。まるで戦争でもはじまるかのような顔だったでしょ?あの紙、絶対あやしいわ。」
「え?」
わがままなだけで世間知らずと噂されていたリリアの意外な言葉にマールは驚いているようだった。
「私のお父様も食事中にああいう顔をするときがあるのよね。そういう時って必ずと言っていいほ ど何かがあるのよ。私がここにくることが決まったときもそうだったわ。」
「で、でもギルバート様ならきっとそんなことありません。だって、いつも私達のためにどんなことでも何とかしてくれました。今度もきっと…。」
マールは手を握りしめうつむいてしまった。
そんなマールの肩に手をのせ、目線があうように中腰になるリリア。
「だめよ。男はね、なんでも一人で抱え込んじゃうんだから。だから自分から近づいてあげるの。 女は行動力よ!…って、お母様の受け売りだけどね。」
「…………」
リリアは軽くウィンクすると、マールを残して部屋を出た。
コンコンッ
コンコンコンッ
ギルの部屋を何度もノックするが、返事はない。
「いかがなさいましたか、リリア様?」
声にリリアは振り返り目線を下におろした。
ランプを片手に、執事のサンチェスが向こうから歩いてくる。
「ギル…ギルバート王はどうしたのかしら?いらしゃらないの?」
「王ならブランク様とお会いになられてますが。」
「ブランク様?」
「そうでした。リリア様はブランク様のことは初めてでしたか。ブランク様はギルバート様の兄上であられるお方です。今まで旅にでられていたのですがさきほどお帰りになられたのです。」
ブランクのことを話すサンチェスはどこか元気がないようだった。
「ひょっとして食事の時、ギルが読んでいた紙にはそのことが書かれていたの?」
もしそうだったらこのセサンチェスの落ち込みようは説明できたのであろうが。
「は?ブランク様はなんの連絡も無しにお帰りになられましたよ。紙とは…?」
「な、なんでもないの!気にしないで。それで今二人はどこに?」
サンチェスが余計な詮索することを恐れたリリアは逃げるように二人がいるという別室に向かっ た。
その別室というのは普段は使われていない。
召使いが掃除をするとき意外はギルはおろか誰も近づかなかったのだ。
それが何故なのかリリアは知るところではなかったのだが、それがギルの兄の部屋だということ。
その兄こそ別室でソファーに腰を掛けている長身の男、ブランクなのだ。
ブランクの容貌はギルとは大きくかけ離れていた。
顔でこそギルと似ているものの、その背丈がリリアよりも高いのだ。
これならばパールの中でも十分通じるはずだ。
「突然帰ってきたと思ったら…やけに馬鹿でかくなったな、ブランク。」
ギルは紅茶の入ったティーカップを兄に渡した。
「そういうお前は相変わらず小さいままだな?」
「・・・オレの覚えうる限りだと、アンタのほうが小さかったような気がするけど?」
それにはブランクは含み笑いをするだけで答えなかった。
それからも二人の間には長い間の確執を表すかのような冷たい空気がながれる。
沈黙を破ったのはブランクだった。
「そういえばギルバード、あのパールが姫さんをよこしてきたんだって?」
「…………」
「美人か?」
「…オレの質問に答えたら教えてやるよ。なんで親父が死んだとき帰ってこなかった?連絡はだしたはずだ。」
「ああ、それか。王位をお前にやろうと思ってな。国にいないような不良よりも、昔から真面目で優秀だったお前のほうが国としてもいいだろう?オレにはオレの分がある。こんな金も何もない、ちっぽけな国に収まるのだけはごめんだね。それに…」
ブランクは立ち上がるとギルに近づき、彼の頭に手を載せた。
「今のオレがこの国の王になってみろ?王ではなく保護者になってしまうしな。」
「ふざけるな!この国を侮辱するのか!?」
ブランクの手をはねのけ、ギルは腰に差していた小剣を抜き取った。
「フン、抜いたな。だが、この平和じゃ腕も落ちたんじゃないのか?おまけにその背じゃな!!」
ブランクが懐に手を入れようした瞬間だった。
「きゃあああ!!!」
突然の奇声とともに、ブランクの頭に衝撃が走った。
ブランクの頭に直撃したのは廊下の飾り棚に置かれていた人形。
一部始終を盗み見していたリリア姫が展開に驚き、投げつけたのだ。
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昔書いたライトノベルです。
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「イヤといったら、いっやっ!!私、チビとバカは嫌いなの!!!」
ここはパール王国。
パールのお姫様、リリアはご立腹である。
父王が姫に内緒で隣国の王と自分を婚約させていたのである。
この隣国、名前はスモールランド。
リリアも一介の姫君だ。
リリアはどちらかというと美人の部類に入るが、この国独特の栗色の髪の毛に黒い目。あ まり目立つ容姿ではないが、どんな政略結婚も覚悟していた。
ここ最近の政略的結婚も美人の方が好まれつつある。
だが一つだけ、絶対的に許せないことがあった。
それは名前のごとく、小人の国なのだ。
そう、彼らは自分たちの身長のゆうに半分以下。大人でも腰より低い。
「絶対にイヤ〜〜〜〜〜〜!!!!」
しかし哀れリリア姫。
結婚までの間、スモールランドで暮らすこととなった。
城を出るとき、馬車に乗り込む前に母君と父王が声をかけてくれた。
「リリア。貴婦人らしく、そしてパールの姫としての威厳を忘れるんじゃありませんよ?」
「はい。」
ニッコリと顔は微笑みながら(イヤじゃ〜)と心で泣く。
「スモールランドの王、ギルバート王はお前と同じ16才。きっと話も合うだろう。それにあそ こは我が国の属国。悪いようにはされぬ。」
「はい。」
(姫って辛いわ。さよなら、私の16年間・・・。)
馬車に揺られながら窓から顔を出し、見送りの人々に手を振る。
人生16年。
これほどの不安はない。というよりも二度とないであろう。
「イヤな奴だったら、すぐにでもお父様に滅ぼしてもらうわ!!」
などとリリアの愚痴をのせて、スモールランドまで馬車は進んだ。
「ようこそ、リリア姫!長旅、さぞご退屈なさったでしょう。ささ、こちらですぞ!おっとと、す みません。私はギルバート王の執事、サンチェスと申します。どうぞよしなに」
(やはりでたな、スモール族!)
彼女を出迎えた男。
やはりチビだった。
年にして50、60、軽く越えているだろう風貌で、自分の腰より背が低いのである。
「唯一、報われるとしたら・・・・・玄関をかがまずに通れることよね・・・。」
城の造りはパールの城より格段にミニチュアだった。
廊下の広さも2分の一。歩いていたらドレスの裾を小人に踏まれてもおかしくない。
しかし装飾だけはリリア的に許せる範囲だったらしい。
彼女愛用の日傘を振りながら、執事のサンチェスに歩いていった。
他のどの扉よりも豪華な、扉を開けるとそこは開けた謁見の間だった。
それでもやはりミニだったが。
赤い絨毯が中央にひかれ、その先。部屋の一番奥に台座がある。
その台座にふんぞりがえる一人の男・・・・いや、子供。
真っ直ぐな金の髪、白い肌。グリーンの瞳がはえる整った顔だち。
女性好みであろうその甘い顔がめんどくさそうにこちらを見ている。
「なんだ、ホントに来たのか。えらくでかい女だな。ま、あんまり食べないでくれよ。こっちは お前らよりも胃が小さいんだからな。」
ぶち。
リリアの頭でなにかが切れた。
台座の子供(?)は他のどの兵士よりも大きめだ。
しかしリリア的常識に当てはめれば・・・学校に通う子供サイズなのだ。
「うるさいわぁ!!私がでかいんじゃなくて、あんた達が小さいのよ!!!!」
ドレスを蹴り上げ、暴れるリリアを沢山のスモール兵隊が押さえ込む。
「り、リリア様!落ち着いて下さい!!」
「はなしなさい!私を誰だと思ってるの!!!パール王国第三王女リリアよ!!!」
しかし当のギルバート王は、「ふんっ」と鼻で息をしただけでそっぽを向いてしまった。
(ゲロゲロ・・・最悪な一日だったわ。)
ゲッソリと疲れ切ったリリアは、与えられた自室の窓から顔を出しもたれかかっていた。
疲れた理由は言うまでもない。
家は小さい。
ドレスは小さい。
食事は少ない。(フォーク、ナイフはリリア的。)
声も小さい。
特にギルがムカツク。
である。
ふと目を閉じる。
何不自由なかったパールでの暮らし。
「帰りたいよぉ・・・・。」
しかし時間は待ってくれない。すぐに下瞼と上瞼がくっつこうとする。
リリアは少し足を縮めて、寝心地の悪いベットでステキな夢を見ることにした。
「夢ぐらい、いいのをみせてよね・・・ふぁ・・・」
「おい、起きろ。」
布団がはがされ、朝の冷たい空気に体がヒヤッとする。
「さむっ!なにすんのよ!!」
「おこしただけだろうが。いちいち叫ぶのをやめろ。それにさっさと支度をせんか。」
「?・・・なんで?」
途端にギルが不機嫌な表情。
「貴様・・・・この俺様が昨日言ってやったことをもう忘れたというのか?」
「あ!ああ、街を案内してくれる、あれね!やだ、覚えてるわよ。ホホホホホ。」
ギルは「ふんっ」とまた鼻を鳴らし部屋を出ていった。
さすがに約束をすっぽかすわけにはいかないのでさっさと支度をする。
「そういえば、パールから連れてきた従者はどうしたのかしら?私にドレスを自分で着ろと いうのかしら!」
お姫様は憤慨した。
今まで服という服を自分で着たことはない。
しかしこの国ではあまり庶民と貴族の差はないようなのだ。
それは城下町に出たときにすぐに知ることとなった。
「王様〜〜!」
街の子供がギルに平気で声をかけてくる。
子供だけではない、街全体がどこか家族のようなのだ。
従者も連れずにギルと二人、街を歩く。
物珍しげに大きなリリアに視線が投げかけられているが、ギルは興味本意視線などものと もせずにリリアの前をずんずんと進んでいる。
「ちょっと!少しは私をエスコートしてよ。あなた紳士なんでしょ。」
少しも歩調を合わせてくれないギルに文句を言った。
「ここはパールではない。お前は俺の后になるのだから、俺にお前が合わせろ。」
「本当に貴方、一国の王なの!?そんなんだからパールに負けて属国なんかになるんだ わ。」
この言葉にはギルバートも黙っていなかった。
それまでムスッとしているものの、普段どうりだった表情が一瞬にして怒りに変わった。
「スモールランドは負けたわけではない。俺の独断で争いを起こせば皆が傷つく。それを避 けただけだ。」
リリアは息をのんだ。
目の前の子供のように思っていたギルがとても大きく見えたからだ。
ガシャーン
大きな物音にギルとリリアはそちらを向いた。
酒場の中から大きな男(リリアサイズ)が二人、笑いながら出てきていた。
酔っているようだった。
「あれは、私の所のものだわ。」
見ていると、酒場の主人らしき小さな40くらいの男が二人を追って出てきた。
「お客さん!お代をお願いします!!」
「あん!?チビがオレ達に命令するのか?負けた国ががボスに逆らうってのかよ。ヒヒヒヒ ヒ!!!」
「ああっ!!」
男はヒョイッと主人の襟首を持ち上げると、家の壁に向かって放り投げた。
「ぐえっ!」
「あなた達・・!」
リリアが文句を言おうとした瞬間、ギルバートがすぐに男達の前に立ちはだかった。
「貴様達!無銭飲食はこの国でも禁じられているのだぞ!そして酒場の主に向かっての 暴行・・・・そこに直れ!私がここで処分しよう!!」
ギルは腰の剣を抜き、男に向かって突きつける。
「あんだと!このガキ・・・。」
男達の威嚇に一歩も退かない。それどころか貫禄ではギルが勝り男達の方がどこか退い ている。
「ナメやがって!このっ・・!!!」
「おやめなさい!!」
リリアが声を上げた。
「他国でのこの様な所行・・・恥ずかしいと思わないのですか!?パールの恥と知りなさい 。今度この様なことをするようでしたら父君に申し上げますよ!」
毅然とした態度のリリアを見て、男達は顔を合わせて逃げ出してしまった。
その姿を見送り、肩の力を一気に抜く。
(ギルより、アイツらの方がむかつくわね。)
そのギルは酒場の店主に手を差しだし起こす手伝いをしている。
店主は一通りのお礼をギルに言うと、店の中に帰っていった。
「やるじゃない、あんた。」
「俺は王様だからな。」
笑い合った後、街の様子をもっと見て回った。
街の人間は本当に楽しそうで、おもしろそうで、幸せそうだった。
体は小さくても心は大きい。
(悪くないかもね。ま、住めば都かしら?)
大きなリリア姫、波乱の人生の始まりだった。
続きを隠す
ここはパール王国。
パールのお姫様、リリアはご立腹である。
父王が姫に内緒で隣国の王と自分を婚約させていたのである。
この隣国、名前はスモールランド。
リリアも一介の姫君だ。
リリアはどちらかというと美人の部類に入るが、この国独特の栗色の髪の毛に黒い目。あ まり目立つ容姿ではないが、どんな政略結婚も覚悟していた。
ここ最近の政略的結婚も美人の方が好まれつつある。
だが一つだけ、絶対的に許せないことがあった。
それは名前のごとく、小人の国なのだ。
そう、彼らは自分たちの身長のゆうに半分以下。大人でも腰より低い。
「絶対にイヤ〜〜〜〜〜〜!!!!」
しかし哀れリリア姫。
結婚までの間、スモールランドで暮らすこととなった。
城を出るとき、馬車に乗り込む前に母君と父王が声をかけてくれた。
「リリア。貴婦人らしく、そしてパールの姫としての威厳を忘れるんじゃありませんよ?」
「はい。」
ニッコリと顔は微笑みながら(イヤじゃ〜)と心で泣く。
「スモールランドの王、ギルバート王はお前と同じ16才。きっと話も合うだろう。それにあそ こは我が国の属国。悪いようにはされぬ。」
「はい。」
(姫って辛いわ。さよなら、私の16年間・・・。)
馬車に揺られながら窓から顔を出し、見送りの人々に手を振る。
人生16年。
これほどの不安はない。というよりも二度とないであろう。
「イヤな奴だったら、すぐにでもお父様に滅ぼしてもらうわ!!」
などとリリアの愚痴をのせて、スモールランドまで馬車は進んだ。
「ようこそ、リリア姫!長旅、さぞご退屈なさったでしょう。ささ、こちらですぞ!おっとと、す みません。私はギルバート王の執事、サンチェスと申します。どうぞよしなに」
(やはりでたな、スモール族!)
彼女を出迎えた男。
やはりチビだった。
年にして50、60、軽く越えているだろう風貌で、自分の腰より背が低いのである。
「唯一、報われるとしたら・・・・・玄関をかがまずに通れることよね・・・。」
城の造りはパールの城より格段にミニチュアだった。
廊下の広さも2分の一。歩いていたらドレスの裾を小人に踏まれてもおかしくない。
しかし装飾だけはリリア的に許せる範囲だったらしい。
彼女愛用の日傘を振りながら、執事のサンチェスに歩いていった。
他のどの扉よりも豪華な、扉を開けるとそこは開けた謁見の間だった。
それでもやはりミニだったが。
赤い絨毯が中央にひかれ、その先。部屋の一番奥に台座がある。
その台座にふんぞりがえる一人の男・・・・いや、子供。
真っ直ぐな金の髪、白い肌。グリーンの瞳がはえる整った顔だち。
女性好みであろうその甘い顔がめんどくさそうにこちらを見ている。
「なんだ、ホントに来たのか。えらくでかい女だな。ま、あんまり食べないでくれよ。こっちは お前らよりも胃が小さいんだからな。」
ぶち。
リリアの頭でなにかが切れた。
台座の子供(?)は他のどの兵士よりも大きめだ。
しかしリリア的常識に当てはめれば・・・学校に通う子供サイズなのだ。
「うるさいわぁ!!私がでかいんじゃなくて、あんた達が小さいのよ!!!!」
ドレスを蹴り上げ、暴れるリリアを沢山のスモール兵隊が押さえ込む。
「り、リリア様!落ち着いて下さい!!」
「はなしなさい!私を誰だと思ってるの!!!パール王国第三王女リリアよ!!!」
しかし当のギルバート王は、「ふんっ」と鼻で息をしただけでそっぽを向いてしまった。
(ゲロゲロ・・・最悪な一日だったわ。)
ゲッソリと疲れ切ったリリアは、与えられた自室の窓から顔を出しもたれかかっていた。
疲れた理由は言うまでもない。
家は小さい。
ドレスは小さい。
食事は少ない。(フォーク、ナイフはリリア的。)
声も小さい。
特にギルがムカツク。
である。
ふと目を閉じる。
何不自由なかったパールでの暮らし。
「帰りたいよぉ・・・・。」
しかし時間は待ってくれない。すぐに下瞼と上瞼がくっつこうとする。
リリアは少し足を縮めて、寝心地の悪いベットでステキな夢を見ることにした。
「夢ぐらい、いいのをみせてよね・・・ふぁ・・・」
「おい、起きろ。」
布団がはがされ、朝の冷たい空気に体がヒヤッとする。
「さむっ!なにすんのよ!!」
「おこしただけだろうが。いちいち叫ぶのをやめろ。それにさっさと支度をせんか。」
「?・・・なんで?」
途端にギルが不機嫌な表情。
「貴様・・・・この俺様が昨日言ってやったことをもう忘れたというのか?」
「あ!ああ、街を案内してくれる、あれね!やだ、覚えてるわよ。ホホホホホ。」
ギルは「ふんっ」とまた鼻を鳴らし部屋を出ていった。
さすがに約束をすっぽかすわけにはいかないのでさっさと支度をする。
「そういえば、パールから連れてきた従者はどうしたのかしら?私にドレスを自分で着ろと いうのかしら!」
お姫様は憤慨した。
今まで服という服を自分で着たことはない。
しかしこの国ではあまり庶民と貴族の差はないようなのだ。
それは城下町に出たときにすぐに知ることとなった。
「王様〜〜!」
街の子供がギルに平気で声をかけてくる。
子供だけではない、街全体がどこか家族のようなのだ。
従者も連れずにギルと二人、街を歩く。
物珍しげに大きなリリアに視線が投げかけられているが、ギルは興味本意視線などものと もせずにリリアの前をずんずんと進んでいる。
「ちょっと!少しは私をエスコートしてよ。あなた紳士なんでしょ。」
少しも歩調を合わせてくれないギルに文句を言った。
「ここはパールではない。お前は俺の后になるのだから、俺にお前が合わせろ。」
「本当に貴方、一国の王なの!?そんなんだからパールに負けて属国なんかになるんだ わ。」
この言葉にはギルバートも黙っていなかった。
それまでムスッとしているものの、普段どうりだった表情が一瞬にして怒りに変わった。
「スモールランドは負けたわけではない。俺の独断で争いを起こせば皆が傷つく。それを避 けただけだ。」
リリアは息をのんだ。
目の前の子供のように思っていたギルがとても大きく見えたからだ。
ガシャーン
大きな物音にギルとリリアはそちらを向いた。
酒場の中から大きな男(リリアサイズ)が二人、笑いながら出てきていた。
酔っているようだった。
「あれは、私の所のものだわ。」
見ていると、酒場の主人らしき小さな40くらいの男が二人を追って出てきた。
「お客さん!お代をお願いします!!」
「あん!?チビがオレ達に命令するのか?負けた国ががボスに逆らうってのかよ。ヒヒヒヒ ヒ!!!」
「ああっ!!」
男はヒョイッと主人の襟首を持ち上げると、家の壁に向かって放り投げた。
「ぐえっ!」
「あなた達・・!」
リリアが文句を言おうとした瞬間、ギルバートがすぐに男達の前に立ちはだかった。
「貴様達!無銭飲食はこの国でも禁じられているのだぞ!そして酒場の主に向かっての 暴行・・・・そこに直れ!私がここで処分しよう!!」
ギルは腰の剣を抜き、男に向かって突きつける。
「あんだと!このガキ・・・。」
男達の威嚇に一歩も退かない。それどころか貫禄ではギルが勝り男達の方がどこか退い ている。
「ナメやがって!このっ・・!!!」
「おやめなさい!!」
リリアが声を上げた。
「他国でのこの様な所行・・・恥ずかしいと思わないのですか!?パールの恥と知りなさい 。今度この様なことをするようでしたら父君に申し上げますよ!」
毅然とした態度のリリアを見て、男達は顔を合わせて逃げ出してしまった。
その姿を見送り、肩の力を一気に抜く。
(ギルより、アイツらの方がむかつくわね。)
そのギルは酒場の店主に手を差しだし起こす手伝いをしている。
店主は一通りのお礼をギルに言うと、店の中に帰っていった。
「やるじゃない、あんた。」
「俺は王様だからな。」
笑い合った後、街の様子をもっと見て回った。
街の人間は本当に楽しそうで、おもしろそうで、幸せそうだった。
体は小さくても心は大きい。
(悪くないかもね。ま、住めば都かしら?)
大きなリリア姫、波乱の人生の始まりだった。
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